体脂肪率の減らし方とは?

なぜダイエットをしたいのでしょうか?体重を減らす目的は何ですか?

 

人々がダイエットをする動機を考えると、一般的には「人からよく見られたい」という欲求があるのではないでしょうか。これは批判的な意味ではなく、むしろ素晴らしいことだと思いますし、誰にでも備わっている欲求です。

 

そのため、ダイエットやエステ、ファッションなど、外見の改善を目指すための分野が存在しているのです。

 

ただし、ダイエットをする目的は、見た目の改善や魅力的な外見を実現することです。体重が減っても、見た目が悪化してしまうという逆効果な状態に陥っている人は意外と多いです。

 

なぜ体重が減っているのに見た目が悪くなるのでしょうか?

 

その理由は明白です。それは、「体重だけが減り、肝心の体脂肪が減っていない」からです。さらに言えば、減った体重は筋肉ではなく脂肪が減っているというケースもあります。

 

健康上も問題です。体脂肪が減らず筋肉量が減ることは避けなければなりません。

 

体重は体全体の重さしか計測されないため、体脂肪が5キロ減っても筋肉が5キロ減っても、計測結果は同じ5キロ減となります。

 

ですから、見た目の改善や理想の体を実現するためには、体脂肪を減らすダイエットが必要です。そのためには、体脂肪とは何か、どのようにして体脂肪を減らせばいいのかをしっかり理解する必要があります。

体脂肪とは何か?

体脂肪とは、体内の脂肪細胞に蓄えられた脂肪のことです。脂肪細胞は、体の正常な機能を維持するために必要な物質を生成しています。例えば、体温の調節や臓器の保護などに関与しています。

 

体脂肪は主に皮下脂肪と内臓脂肪の2種類に分けられます。皮下脂肪は皮膚の下に存在し、主に腹部、お尻、太ももなどに蓄積します。一度ついてしまうとなかなか減らすのが難しいのが特徴です。

 

一方、内臓脂肪は腹部の筋肉の内側に位置し、主に腸間膜などに付着します。内臓脂肪は比較的早く蓄積されますが、同様に比較的早く減らすことも可能です。

 

体脂肪の傾向として、皮下脂肪は女性に多く、内臓脂肪は男性に多い傾向があります。

 

ただし、体脂肪を過度に減らすことは健康上問題があります。極端に減るとホルモンバランスが乱れ、月経異常などの問題を引き起こす可能性があります。一方、体脂肪が過剰になると、糖尿病や高血圧などの生活習慣病のリスクが高まります。そのため、体脂肪を適切な範囲に保つことが重要です。

 

特に、体を鍛えたい人や女性のアスリートは、これらの要素を考慮する必要があります。体脂肪を減らすだけでなく、健康を害することなくバランスの取れた状態を保つことが重要です。

体脂肪率の測り方

次に重要なのは、自分の体脂肪率を知ることです。体脂肪率は、体内の脂肪の割合を表します。

 

以下の数式を使って、体脂肪率を計算できます。

 

体脂肪率(%)=(体脂肪量(kg)÷体重(kg))×100

 

※体脂肪量は体組成計などで測定してください。

 

例えば、体重が70kgで体脂肪量が20kgの女性の場合、計算は「20kg(体脂肪量)÷70kg(体重)×100」になりますので、体脂肪率は28%となります。

体脂肪率とBMIとの違いは何か

最近よく聞かれるキーワードの一つに「BMI」があります。BMI(Body Mass Index)は、体脂肪率とは異なる指標です。

 

体脂肪率は体内の脂肪の割合を示しますが、BMIは「体重(kg)÷身長(m)の2乗」という計算式で求められ、主に「肥満度を知るための数値」として使用されます。

 

ただし、注意点として、BMIでは筋肉量や体脂肪量まで確認することはできません。そのため、筋肉量が多く体重が重い人でも「肥満」と判断される場合があります。

 

体脂肪率とBMIにはこのような違いがありますので、まず認識しておくことが重要です。ただし、自身の体型の傾向や肥満度を理解するためには、体脂肪率とBMIの両方が必要です。これらの指標を用いることで、より正確な判断が可能になります。

 

体脂肪率とBMIを把握しないと、筋肉量が多くて体重が重い人が「肥満」と診断されたり、外見的には痩せて見えるけれども実際には脂肪が多い場合に「隠れ肥満」と診断されることがあります。

 

BMIの数値基準は以下の通りです。

 

BMI(肥満度)

〜18.5:低体重

18.5〜25:普通体重

25〜30:肥満レベル1

30〜35:肥満レベル2

35〜40:肥満レベル3

40〜  :肥満レベル4

 

この数値は男女共通で、BMI数値22が適正とされています。BMIが22から離れるほど、健康上のリスクが高まると考えられています。

 

一般的に、BMIが25を超えると生活習慣病の発症リスクが2倍になると言われており、BMIが19未満の場合、BMIが23〜24.9の人に比べて発がんリスクが30%以上高まるという研究データもあります。

 

したがって、BMIの数値が高いだけでなく、低い場合も問題となりますので、常に基準としてBMI値22を目指して体を管理することが重要です。

適正な体脂肪率とは

男性の数値目安

男性の場合、体脂肪率の標準的な数値は「10%以上20%未満」とされています。

 

以下は一般的な体脂肪率の分類です。

  • 15%未満:痩せ型
  • 15%以上25%未満:標準
  • 25%以上:肥満

体脂肪率はBMIとは異なり、数値の高さ自体が生活習慣病の原因になるわけではありません。ただし、無視したままにしておくとさまざまな病気を引き起こすリスクがあります。

 

男性の場合、特に内臓脂肪が蓄積しやすく、内臓脂肪が増えると生活習慣病の発症リスクが高まります。「肥満」に該当する人は、自身の健康に注意し、体脂肪率を減らすために努力することが重要です。

女性の数値目安

女性の場合、体脂肪率の標準的な数値は「20%以上30%未満」とされています。

 

以下は一般的な体脂肪率の分類です。

 

  • 20%未満:痩せ型
  • 20%以上30%未満:標準
  • 30%以上:肥満

女性は男性と比べて皮下脂肪が付きやすい傾向があります。これは、授乳などの子育てに備えるための体の仕組みとして、皮下脂肪が蓄積しやすくなっているためです。

 

そのため、女性の体脂肪率の基準は男性よりも高くなっています。しかし、実際にはこのメカニズムを理解している女性は少ないかもしれません。

 

その結果、男性の基準の体脂肪率で自分を評価し、無理なダイエットや食事制限をして健康を損ねてしまう人が意外に多いのです。

ただし、無理なダイエットや食事制限は体にとって悪循環となりますので、注意が必要です。

 

健康を損ねてしまうようなダイエットを行ってしまうと、元も子もありませんので、くれぐれも気を付けましょう。

ダイエットを行う際は、健康を第一に考え、無理な方法ではなくバランスの取れたアプローチを選ぶことが重要です。

体重は減ったのに体脂肪率が減らない理由

ダイエットを頑張っている人の中には、「体重は減っているのに体脂肪が減らない」という状況に直面する人がいます。この現象にはさまざまな理由が考えられますが、一つの原因として考えられるのは「体組成計の数値のばらつき」です。

 

体組成計は、脂肪と筋肉の電気抵抗の違いを利用して体脂肪率を測定します。基本的に、すべての体組成計は同じ原理で動作しますが、細かい部分には若干の違いがあります。そのため、使用する体組成計によって数値に多少の変動が生じることがあります。

 

また、体脂肪率は「体内に含まれている水分量」によっても変動します。水分量が多い場合は体脂肪率が低く表示され、水分量が少ない場合は体脂肪率が高く表示される傾向があります。

 

したがって、1日の中でも体脂肪を測定するタイミングによっても数値にばらつきが生じるのです。そのため、体脂肪率を測定する際には、できる限り同じ時間帯に計測するように心がけましょう。

 

タイミングがバラバラだと変化を正確に把握するのが難しくなり、体脂肪の変動を感じにくくなる可能性があります。

どうすれば体脂肪が落ちるのか

 

体脂肪率を減らすためには、体重に対しての体脂肪量を減らしていく必要があります。ただし、理解しておいていただきたいのは、体脂肪量を減らすために「食事だけで減らす」のは非効率的であるということです。

 

初めの段階では食事制限を行えば体脂肪量は減っていくでしょう。しかし、無理な食事制限を続けることは長期的には持続できません。

 

当然ながら、継続できなければ食事制限で減った体脂肪量はすぐに戻ってしまいます。

 

そこで重要なのが「運動」です。

 

有酸素運動によって脂肪を燃焼し、筋力トレーニング(無酸素運動)によって筋肉を増やすことで、体脂肪量を効率的に減らしていくことができます。

 

さらに、運動によって筋肉を増やすことで、基礎代謝が上がり、脂肪が付きにくい体を作ることができます。

有酸素運動

 

有酸素運動は、酸素を使って脂肪を燃焼することができます。適度な強度で持続的に行われると、身体が酸素を十分に取り込むことができます。その結果、脂肪をエネルギーとして利用し、体脂肪量を減らすことができるのです。

 

例えば、ウォーキングやジョギング、サイクリング、水泳などが有酸素運動の代表的な活動として挙げられます。有酸素運動は、日常的に取り組むことで体脂肪の燃焼効率を高め、健康的な体重管理に役立つ運動方法です。

有酸素運動事例1:ランニング

有酸素運動の代表的な例は「ランニング」です。ランニングは手軽に始められるため、多くの人が取り組んでいます。

 

自分のペースに合わせて負荷を調整することができ、初心者でも始めやすい運動です。有酸素運動において、脂肪燃焼効果が最も高まるのは運動を始めて約20分後くらいからとされています。そのため、有酸素運動で効果を得るためには、数分で終わるのではなく、最低でも20分以上の継続を心掛けましょう。

 

ランニングを取り入れる際には、適度なペースで無理のない時間を設定し、徐々に体力をつけながら取り組むことが大切です。

有酸素運動事例2:ウォーキング

ウォーキングは運動の強度が比較的低い運動です。

 

しかし、運動初心者の方でランニングを始めることに抵抗感がある人や、以前に膝や腰などの怪我をした経験があり不安な人にとっては、ウォーキングから始めることがおすすめです。

 

ウォーキングの特徴は、無理なく長時間の運動が可能であることです。適度なペースで歩くことで、心拍数や負荷を適切に調整しながら運動することができます。

 

また、ウォーキングは気分転換にもなりますので、リフレッシュしたいときにもおすすめです。ウォーキングは身体への負担が比較的少なく、日常生活に取り入れやすい運動方法ですので、ぜひ活用してみてください。

有酸素運動事例3:スイミング

スイミングは、脂肪燃焼の観点から見ると効果的な有酸素運動です。水の抵抗によってエネルギー消費量が増えるため、脂肪を効率よく燃焼することができます。水中で行う運動は、水温によって体の熱を奪われずにエネルギーを使うため、効果的な運動と言えます。

 

また、水中では水圧によって筋肉に適度な負荷がかかります。このような理由から、スイミングは脂肪燃焼効果が高い運動と言えます。

 

ただし、有酸素運動を行っているにもかかわらず体重が減らない場合や、シェイプアップが進まない場合は、筋肉量が不足して基礎代謝が低い可能性があります。

筋力トレーニング(無酸素運動)

体脂肪を減らすためには、有酸素運動だけでなく筋力トレーニング(無酸素運動)も重要です。

有酸素運動は脂肪燃焼に効果的ですが、筋力トレーニングを行うことで筋肉量を増やし、基礎代謝を高めることができます。

 

筋肉はエネルギーを消費するため、筋力トレーニングによって筋肉量が増えれば、日常生活でも多くのカロリーを消費することができます。また、筋肉は体を引き締める効果もあり、体のシェイプアップやメリハリをつけるのにも役立ちます。

 

したがって、体脂肪を減らすためには有酸素運動と筋力トレーニングを組み合わせて行うことが重要です。有酸素運動で脂肪を燃焼し、筋力トレーニングで筋肉を増やすことで、効果的な体脂肪の減少と体型の改善が期待できます。

筋力トレーニング:スクワット

スクワットは、下半身の大きな筋肉であるお尻や太腿を鍛えるためのトレーニングです。下半身の筋肉は体全体の大部分を占めており、スクワットによってこれらの筋肉を強化することで、基礎代謝が向上します。また、下半身の筋力を鍛えることで体のバランスや安定性も向上し、日常生活での動きやすさも向上します。

 

スクワットの正しいフォームは、まず肩幅よりやや広めに足を広げ、足先を45度の角度に向けます。その後、お尻を下げていく際に注意すべき点は、膝が極端に前に出過ぎないようにすることです。

 

重要なポイントは、胸を張りながらお尻を後ろに引くイメージで行うことです。できるだけ深くしゃがむことが望ましいですが、自身の体力や柔軟性に合わせて無理のない範囲で行いましょう。

筋力トレーニング:チンニング(懸垂)

チンニングは、主に背中の筋肉を鍛えるトレーニングです。背中の筋肉も下半身の筋肉同様に大きな筋群であり、これをしっかりと鍛えることで基礎代謝を向上させることができます。

 

また、背中の筋肉をしっかりと発達させることで、バランスの取れたボディメイクを促進することもできます。チンニングのフォームとしては、懸垂用のバーまたは鉄棒などに手を広げて掴みます。手の幅は肩幅よりもやや広めが良いでしょう。

 

その状態から、腕を使って体を引き上げていきます。この際、胸を張り、肩甲骨を引き寄せるように上げていくことが重要です。

 

また、体を引き上げた後、ゆっくりと元の位置に戻す動作も意識しましょう。これによって背中の筋肉をさらに刺激することができます。

筋力トレーニング:プッシュアップ(腕立て伏せ)

プッシュアップもチンニングと同様に、上半身の広範囲の筋肉を鍛えることができるトレーニングです。プッシュアップのフォームは、うつ伏せの状態で肩関節の下に手と腕を配置し、足先をつけて体を支えます。この状態で肘を曲げ伸ばす動作を繰り返すことで行います。

 

可動域は胸が地面に近づく程度まで行えると、より効果的です。通常の腕立て伏せの体勢が難しい場合は、膝をついて行ったり、他の人に補助してもらったりして負荷を軽減させることもできます。自分に合った負荷や形式で行うことで、効果的にプッシュアップを取り入れましょう。

食事内容の改善

食事の面でもダイエットを成功させるためには、摂取カロリーや栄養素のバランスに意識を向けることが重要です。

 

カロリーの面では、高カロリーな食品を控えることが大切です。炭水化物や脂肪の摂取量を制限し、たんぱく質を中心とした食事にすることで、体脂肪を減らす効果が期待できます。

 

ただし、食事制限に関しては長期的な視点で考える必要があります。過度な食事制限は身体に負担をかけるだけでなく、継続が難しくなる可能性があります。

 

そのため、極端な制限ではなく、少しずつ食事内容を変えることをおすすめします。例えば、ご飯の量を少し減らしたり、デザートを一食分減らしたりするなど、小さな変化を取り入れることで体の変化を促すことができます。

 

1日単位では大したカロリーの差にならないかもしれませんが、長期的に続けることで大きな変化をもたらすことができます。

 

重要なのは、今すぐにでも小さな変化を加えることです。少しずつ習慣を改善していくことで、健康的なダイエットを実現することができます。

ダイエットに重要な目標設定とは

ダイエットを行う際に重要なのは体重ではなく体脂肪率です。

 

体重だけを気にして減らす場合、筋肉が減少している可能性があります。筋肉は体の機能を維持し、基礎代謝を高める役割を果たしています。

 

筋肉が減ると基礎代謝が低下し、リバウンドのリスクが高まるだけでなく、身体の健康や見た目にも悪影響を与える可能性があります。

 

そのため、ダイエットを行う際には体脂肪率を意識することが重要です。体脂肪率を減らすことで、健康的な体重減少を実現し、見た目の改善と共に筋肉量を保持することができます。

 

ダイエットは単なる体重の減少だけではなく、健康と美しさを両立させるための取り組みです。体脂肪率を目標にしながら、適切な食事や運動、筋力トレーニングを取り入れて体を健康的にシェイプアップしていくことが大切です。